久しぶりに新しい小説に手を出した。
「ビブリア古書堂の事件手帖」
わりとジャケ買いなんだが(笑)
すごい本だった。
古書店が舞台の中心だから色々な本が出てくるのだが、ことごとくその本が読みたくなる。
元々読書は好きだから余計に。
そういえば昔ほど本を読まなくなったし、昔ほど雑食でもなくなってしまったなぁと思いながら読んでいた。
ところどころにそれらの本からの引用があるのだが、良いフレーズがあったので書き留めておく。
『なにかの役に立つといふことを抜きにして、僕達がお互ひに必要とし合ふ間柄になれたなら、どんなにいゝことだらう』
小山清の「落ち穂拾ひ」からの引用だそうだが、本当にそうだと思う。
そんな関係になれたらどんなに「いゝ」だろうと。
「素敵」でも「素晴らしい」でも「幸せ」でもなく「いゝ」という書き方も凄い。
すべて含んでいる感じがする。
こういう些細な所で凄いなと感じられるっていうのが作家の力量なのかなと。
もう一つ引用ではないのだが…
『俺はこの人のことを、なにも分かっていなかった。肝心な時にも信頼されない人間でしか無かったのだ。』
上とは対局にあるこの言葉が衝撃的と言うか…
身につまされる気持ち。
そんなもんだよなと。
分かったつもりになって、必要とされていると勘違いして…
そうでないと分かった時はどれほど苦しく、どれほど虚しいものかと。
自分が容易に人を信用するし、気に入った人に入れ込みやすいからこそ刺さる言葉なんだろうな。
つくづく他人との距離のとり方が下手くそだなぁと。
信頼されるほど価値のある人間でもないしな(笑)
というフレーズがぽろっと出てくるから良くないんだろうが、癖みたいなものだからな(笑)